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副業・複業で法務を強化する:外部法務人材の活用事例

2026/05/11

法務人材

副業・複業で法務を強化する:外部法務人材の活用事例

はじめに:法務人材不足が深刻化する現代の企業法務

近年、企業活動のグローバル化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速、さらには法規制の複雑化に伴い、法務部門への期待と業務量は急増しています。しかし、それに見合う法務専門人材の確保は容易ではありません。法務担当者の採用市場では需要が供給を大きく上回っており、「優秀な法務人材が採れない」「法務部員が慢性的に不足している」という声は、中堅・大企業を問わず広く聞かれます。

こうした状況の中、注目を集めているのが副業・複業人材の活用です。弁護士や企業内法務経験者が、本業を持ちながら他社の法務業務を支援する形態が普及し、企業側にとっても柔軟かつ即戦力となる人材確保の手段として定着しつつあります。本記事では、副業・複業形態で外部法務人材を活用するメリット・デメリット、具体的な活用事例、そして導入時の注意点を詳しく解説します。

副業・複業法務人材とは何か

副業・複業法務人材とは、主たる勤め先(本業)を持ちながら、別の企業や組織の法務業務を担う人材のことを指します。以下のような方が該当します。

  • 弁護士資格保有者:法律事務所に所属しつつ、顧問弁護士とは異なる形で特定企業の法務チームに参加するケース
  • 大手企業の法務部員:所属企業から副業許可を得た上で、スタートアップや中堅企業の法務を支援するケース
  • 法務専門のフリーランス:特定の雇用形態に縛られず、複数クライアントの法務業務を並行して担うケース
  • 法務コンサルタント:法務戦略の立案や組織設計に特化した専門家として複数社を支援するケース

2018年の政府による「副業・兼業の促進に関するガイドライン」公表以降、企業における副業解禁が加速し、法務分野でも高い専門性を持つ人材が副業市場に参入しています。法務は秘密保持との兼ね合いが難しいと言われることもありますが、適切なNDA(秘密保持契約)の締結と業務範囲の明確化により、多くの企業が副業法務人材の活用に成功しています。

外部法務人材を活用するメリット

副業・複業形態で外部法務人材を活用することには、多くのメリットがあります。

即戦力の確保

法務の正社員採用では、内定から実際の入社まで数ヶ月を要することが一般的です。その間に法務対応が必要な案件が生じても、人材が揃わない状況が続きます。副業・複業人材であれば、契約締結後すぐに業務に入ってもらえるケースが多く、急を要する案件や特定プロジェクトに迅速に対応できます。

専門領域に特化したスキルの導入

M&A法務、知的財産、労働法務、個人情報保護、国際取引など、法務には多くの専門領域があります。自社の法務部員が全分野に精通することは難しく、特定の専門知識が必要な場面で対応が困難になることがあります。副業人材であれば、必要な領域の専門家を必要なタイミングで起用できるため、専門性の高い案件にも柔軟に対応することが可能です。

コスト効率の改善

法務の正社員を一名採用する場合、給与・賞与・社会保険・福利厚生を含めると年間1,000万円以上のコストがかかることも珍しくありません。副業・複業人材の場合は、必要な業務量・時間に応じた報酬設定が可能であり、業務量の変動に合わせて柔軟にコストをコントロールすることができます。

社内法務部員の育成機会

外部の経験豊富な法務人材が社内に関与することで、社内法務スタッフのスキルアップにもつながります。高い専門性を持つ外部人材と共に業務を進めることで、OJT的な学習効果が生まれ、社内人材の成長が促進されます。

多様な視点の導入

他社で働いた経験を持つ外部人材は、自社の法務部内では見えにくい問題点や改善案を指摘してくれることがあります。業務フローの非効率、リスクマネジメントの盲点、最新のコンプライアンス動向など、外部からの視点が組織の法務力を高める契機となります。

具体的な活用事例

実際に外部法務人材を活用している企業の事例を紹介します。

事例1:スタートアップ企業のIP戦略強化

急成長するテック系スタートアップA社は、自社サービスの特許出願や商標管理に関する専門知識が社内に不足していることに課題を感じていました。弁理士資格を持つ副業人材と月10〜15時間の業務委託契約を締結し、知的財産ポートフォリオの整備を依頼。3ヶ月で主要技術の特許出願5件を完了し、競合他社の類似サービス参入に対するリスクを大幅に低減することができました。コストは外部弁護士事務所への委託比で約40%削減できたとのことです。

事例2:製造業中堅企業のM&A対応

初めてM&Aを検討した製造業B社では、デューデリジェンスや買収契約の交渉経験を持つ社内人材がいませんでした。M&A経験豊富な企業内弁護士経験者を副業として起用し、プロセス全体を伴走支援してもらう形を取りました。大手法律事務所に全面委託するよりも費用を抑えながら、実務に即した専門的なアドバイスを得ることができ、案件をスムーズにクローズさせることができました。

事例3:小売業企業の個人情報保護法対応

個人情報を大量に扱う小売業C社は、改正個人情報保護法への対応に追われていました。改正法の実務対応に精通した副業法務人材(元大手企業法務部員)を起用し、プライバシーポリシーの改定、社内規程の整備、従業員向け研修の実施まで一括して支援してもらいました。外部コンサルと比較して、実務に踏み込んだ形での対応が可能だったことが高く評価されました。

事例4:中堅IT企業の法務部立ち上げ

これまで法務専任者を置いていなかったIT企業D社は、事業拡大に伴い法務機能の構築が急務となりました。法務部の立ち上げ経験を持つ副業人材に法務体制の設計から関与してもらい、業務フロー・規程・契約書ひな型の整備を実施。その後、同人材の推薦を得て正社員の法務担当を採用し、スムーズに業務移行を完了させることができました。副業人材の関与が「つなぎ」ではなく、法務部の基盤づくりに貢献した典型事例です。

導入時の注意点とリスク管理

副業・複業法務人材の活用には多くのメリットがある一方、いくつかの注意点も存在します。

秘密保持・利益相反の管理

法務業務には機密性の高い情報が多く含まれます。外部人材との契約には、NDA(秘密保持契約)の締結を必須とし、開示情報の範囲と管理方法を明確に定めることが重要です。また、当該人材が競合企業や利益相反先と契約していないかを事前に確認することも欠かせません。

業務の明確化と役割分担

「何でもやってもらえる」という期待を持つと双方にとって不満が生じます。担当してもらう業務の範囲、責任の所在、アウトプットのフォーマット、報告ルートなどを事前に詳細に取り決めることが成功の鍵です。特に、社内の法務部員との役割分担を明確にしておくことが重要です。

知識移転と属人化の防止

外部人材が担当した業務の内容や判断根拠が適切に記録・共有されていないと、その人材が離脱した際に業務継続が困難になります。ドキュメント化のルールを設け、社内に知識が蓄積されるようにする仕組みを構築することが重要です。

法的リスクの明確化

外部人材が法的判断を行う場合、その判断の責任の所在を明確にしておく必要があります。特に弁護士資格を持たない法務人材が法的アドバイスを行う場合は、あくまでも実務サポートであり、最終的な法的判断は資格者または社内責任者が担うという役割分担を明確にしておくべきです。

外部法務人材の探し方と選定ポイント

副業・複業法務人材を探す方法はいくつかあります。法務人材専門の紹介サービス、リーガルテック系プラットフォーム、人材エージェントの活用などが代表的です。また、LeONEが提供する法務人材コネクトのような法務に特化した人材マッチングサービスを利用することで、法務専門性の高い人材と効率的につながることができます。

選定時には以下のポイントを確認することをお勧めします。

  • 業務経験の具体性:担当したことのある業務領域や案件の規模・種類
  • 業種への理解:自社業界の規制・慣行に関する知識
  • コミュニケーション能力:非法務部門との連携や経営陣への説明能力
  • 可動時間・稼働率:本業の繁忙期と自社の法務繁忙期が重複しないか
  • 過去の副業実績:複数社の法務を並行して担った経験があるか

また、試用的な短期プロジェクトからスタートし、相互の相性を確認した上で長期的な関与に移行するというアプローチも有効です。

まとめ:副業・複業法務人材の活用で法務部門を強化する

副業・複業法務人材の活用は、法務人材不足に悩む企業にとって即効性のある解決策の一つです。即戦力の専門性を柔軟なコストで活用できるという点で、特定の案件対応や法務部門の立ち上げ期に大きな力を発揮します。

一方、秘密保持・役割分担・知識移転などの管理を適切に行わなければ、期待した効果が得られなかったり、かえってリスクを生んでしまう可能性もあります。外部人材の活用を成功させるためには、明確な目的設定・契約設計・社内体制との連携がポイントとなります。

LeONEでは、法務人材コネクトを通じて副業・複業を含む多様な形態での法務人材マッチングを支援しています。「特定案件を任せられる専門家を探したい」「法務部の立ち上げに伴走してくれる人材が欲しい」といったお悩みをお持ちの企業担当者様は、ぜひ一度ご相談ください。貴社の法務課題に最適な外部人材のご紹介と、活用にあたってのアドバイスを提供いたします。