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法務部の内部統制・監査対応体制構築:全社ガバナンス強化における法務部の役割

2026/07/15

法務部構築

法務部の内部統制・監査対応体制構築:全社ガバナンス強化における法務部の役割

なぜ今、法務部に内部統制・監査対応の体制構築が求められるのか

上場企業はもちろん、上場準備企業や非上場の中堅・大企業においても、内部統制報告制度(J-SOX)への対応や会計監査人・監査役監査への対応は避けて通れない経営課題となっています。従来は経理・財務部門が主導する領域と捉えられがちでしたが、契約管理の不備、コンプライアンス違反、反社会的勢力との取引リスクなど、内部統制上の重要な欠陥は法務領域に起因するケースが少なくありません。

そのため、近年は法務部が内部統制の「三線防衛(スリーラインディフェンス)」における重要な担い手として位置づけられるようになっています。第一線(現場部門)のリスクを未然に防ぐ仕組みづくり、第二線(管理部門)としてのモニタリング機能、そして監査対応における資料整備や説明責任を、法務部がどこまで担うのかを明確に設計することが、体制構築の出発点となります。

内部統制における法務部の役割とは

内部統制における法務部の役割は、大きく分けて以下の3つに整理できます。

  • 予防的統制:契約書レビュー基準、稟議・決裁ルール、反社会的勢力チェックのフローなど、問題が発生する前に防ぐ仕組みの設計と運用
  • 発見的統制:契約書の網羅的な台帳管理、更新期限のアラート体制、コンプライアンス通報窓口の運用状況のモニタリング
  • 是正・報告機能:問題が発見された際の是正措置の実施、経営層・監査役への報告ラインの整備

これらを場当たり的に運用するのではなく、社内規程や業務フローとして明文化し、誰が見ても再現可能な形にしておくことが、監査対応において最も評価されるポイントです。属人的な運用は、担当者の異動や退職によって統制の実効性が失われるリスクを常に抱えています。

監査対応体制の構築ステップ

監査対応をスムーズに進めるためには、日常業務の中に監査対応の視点をあらかじめ組み込んでおくことが重要です。具体的には以下のステップで体制を構築します。

  • ステップ1:証跡の一元管理契約書、稟議書、審査記録などを検索可能な形で一元管理し、監査時に即座に提出できる状態を整える
  • ステップ2:統制ポイントの文書化どの業務のどの段階で誰がどのようなチェックを行っているかを、フローチャートやチェックリストとして可視化する
  • ステップ3:自己点検(セルフアセスメント)の定例化年次または半期ごとに、統制が実際に機能しているかを法務部自らが点検し、形骸化を防ぐ
  • ステップ4:監査人・監査役との事前すり合わせ監査のスコープや重点確認項目を事前に把握し、必要な資料を先回りして準備する

特にステップ1の証跡管理は、契約書管理体制(CLM)の整備状況に大きく左右されます。契約書管理の仕組みが未整備のまま監査対応を迎えると、資料収集だけで膨大な工数がかかり、本来注力すべき統制の実質評価に時間を割けなくなってしまいます。

部門横断の連携体制をどう設計するか

内部統制・監査対応は法務部単独で完結するものではありません。経理財務部門、内部監査室、人事部門、情報システム部門など、複数の部門が関わる横断的なテーマです。法務部がこの連携のハブとして機能するためには、次のような工夫が有効です。

  • 定例の統制会議体を設置し、各部門の統制状況を定期的に共有する
  • 契約審査やコンプライアンス相談の対応履歴を、関連部門からも参照できる形で記録する
  • 規程改定や新規リスクの発生時に、関係部門へ速やかに情報連携するエスカレーションルートを明確化する

こうした横断連携の設計は、法務部単独のリソースだけで完結させようとすると、どうしても人員不足に直面しがちです。統制文書の整備や証跡管理といった定型的かつ工数のかかる業務については、外部リソースを活用することで、法務部員は判断業務やリスク評価といった本来注力すべき業務に集中できます。法務アウトソーシングについてはこちらから、体制構築の実務をどのように外部委託できるかをご確認いただけます。

体制構築でよくある失敗とその回避策

内部統制・監査対応体制の構築において、実務上よく見られる失敗パターンには以下のようなものがあります。

  • 規程はあるが運用が伴っていない:規程を作成した時点で満足してしまい、実際の業務フローに落とし込めていないケース
  • 担当者に知識・経験が偏っている:特定の担当者しか統制の全体像を把握しておらず、異動や退職により統制機能が空洞化するケース
  • 監査直前に慌てて資料を整備する:日常的な証跡管理が不十分なため、監査シーズンに業務が集中し疲弊するケース

これらの失敗を回避するためには、体制構築を一時的なプロジェクトとして終わらせるのではなく、継続的に見直すPDCAサイクルとして位置づけることが不可欠です。自社だけで体制の全体設計や運用ルールの見直しを行うことが難しい場合は、外部の専門家の知見を取り入れることも有効な選択肢です。法務部コンサルティングの詳細はこちらから、体制診断や改善支援の内容をご覧いただけます。

まとめ:持続可能なガバナンス体制を目指して

内部統制・監査対応は、一度整備すれば終わりというものではなく、事業の拡大や法改正、組織変更に応じて継続的にアップデートしていく必要があるテーマです。法務部がこの領域で存在感を発揮できるかどうかは、企業全体のガバナンスレベルを左右する重要な要素になりつつあります。

自社の統制体制がどの程度成熟しているかを客観的に把握し、必要な部分から着実に整備を進めていくことが、監査対応の負担軽減だけでなく、経営層からの信頼獲得にもつながります。まずは自社の現状を棚卸しするところから始めてみてはいかがでしょうか。