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法務担当者の採用面接で見るべき5つのポイント

2026/04/11

法務人材

法務担当者の採用面接で見るべき5つのポイント

はじめに:なぜ法務担当者の採用面接は難しいのか

法務人材の採用は、企業にとって年々難易度が上がっています。売り手市場が続く中、優秀な法務人材は複数の企業から引く手あまたであり、採用側も限られた面接時間の中でその人材の真の実力を見極めなければなりません。

しかし、法務という職種は他の職種と比べて「面接で何を聞けばよいか」が分かりにくい面があります。営業職であれば数字で実績を測れますが、法務の場合は成果が見えにくく、候補者のスキルや適性を客観的に評価する軸を持つことが難しいのです。

また、法務担当者に求められる能力は多岐にわたります。法律知識はもちろんのこと、契約書レビュー・交渉・社内調整・リスク判断・コンプライアンス管理など、実際の業務では幅広いスキルが必要です。さらに、その企業の事業内容・業界特性・組織文化への適合性も重要な評価軸となります。

本記事では、中堅・大企業の法務部が採用面接において必ず確認すべき5つのポイントを、具体的な質問例とその評価の観点とともに解説します。採用担当者・法務部長・人事担当者の方々に、実務ですぐに活用できる内容をお届けします。

ポイント1:実務経験の「質」と「深さ」を見極める

履歴書や職務経歴書に記載されている経験年数や担当業務だけでは、その候補者が本当に実務を担えるかどうかは判断できません。大切なのは、経験の「量」ではなく「質」と「深さ」です。

確認すべき質問例

  • 「これまでで最も複雑だった契約書レビューの案件について、具体的に教えてください。どのような点がポイントでしたか?」
  • 「法務として関与したM&Aや重要な取引の経験があれば、ご自身の役割と貢献を教えてください。」
  • 「社内の他部門から法的リスクが高い相談を受けた際、どのように対応しましたか?具体的な事例を教えてください。」

評価の観点

優秀な法務担当者は、単に「契約書をレビューした」という表面的な説明ではなく、どのような法的リスクを発見し、どのように交渉・修正提案を行い、最終的にどのような結果になったかを論理的に説明できます。また、自分の判断の根拠と限界を明確に語れることも重要なポイントです。

逆に注意すべきは、「会社として対応した」「チームで処理した」という主語が曖昧な回答です。このような場合は追加質問で「あなた自身はどのような役割を担いましたか?」と深掘りすることで、個人としての実務能力を確認しましょう。

ポイント2:法的思考力とリスク感度を確認する

法務担当者に最も求められる能力の一つが、法的思考力です。これは単に法律を知っているということではなく、事実関係を整理し、適用法令を特定し、リスクを評価し、経営判断に資する情報を提供できる能力のことを指します。

確認すべき質問例

  • 「新しいビジネスモデルや取引スキームを検討する際、法務としてどのようなアプローチで関与しますか?」
  • 「経営陣から法的にグレーな施策について相談された場合、どのように対応しますか?」
  • 「法律の改正が自社のビジネスに影響を与えそうな場合、どのように情報収集・対応しますか?」

評価の観点

優れた法的思考力を持つ候補者は、問題を「合法か違法か」の二択でとらえるのではなく、リスクの大小・発生可能性・コスト・事業上のメリットなどを総合的に勘案したうえで意見を述べることができます。

特に「経営陣の要請にどう向き合うか」という質問は重要です。法的リスクを正確に伝えながらも、事業の推進を支援するバランス感覚があるかどうかを確認できます。単に「法的にNGだからできません」とだけ言う人材は、実務においてビジネス部門から「使いづらい法務」と見なされるリスクがあります。

ポイント3:コミュニケーション能力と社内調整力を測る

法務担当者は、弁護士や外部専門家だけと仕事をするわけではありません。営業・開発・財務・人事・経営陣など、あらゆる部門と連携しながら業務を進めます。そのため、専門知識を分かりやすく伝えるコミュニケーション能力と、社内での調整力は必須スキルです。

確認すべき質問例

  • 「法律の専門知識がない社員や経営陣に、複雑な法的問題を説明する際に工夫していることはありますか?」
  • 「ビジネス部門から無理な要求をされた場合、どのように対応しますか?」
  • 「社内で法務の意見が通らなかった経験があれば、その状況とあなたの対応を教えてください。」

評価の観点

法務の仕事は「正しい答えを出すこと」だけではありません。その答えを関係者に理解・納得してもらい、組織として適切な行動をとれるよう導くことも重要な役割です。

面接では、候補者が法律用語を多用せずに分かりやすい言葉で説明できるか、相手の立場に立った説明ができるかを意識して観察してください。また、「法務の意見が通らなかった経験」への回答は、候補者の対立対処能力・粘り強さ・組織内での影響力を測るうえで非常に有益です。

ポイント4:学習意欲・変化への適応力を見る

法令は常に改正されます。AIや新技術の台頭により、法務を取り巻く環境も急速に変化しています。個人情報保護法・フリーランス新法・AI関連規制・ESG開示規制など、近年は特に立て続けに重要な法改正・新規制が登場しており、法務担当者には継続的な学習が求められます。

確認すべき質問例

  • 「最近注目している法改正や法的トレンドがあれば教えてください。それが自社のビジネスにどう影響すると思いますか?」
  • 「法務DXやAIツールの活用について、どのようなお考えをお持ちですか?実際に活用した経験はありますか?」
  • 「これまでのキャリアで、未経験の分野・業界に対応しなければならなかった経験はありますか?どう対処しましたか?」

評価の観点

「最近注目している法改正」を具体的に語れる候補者は、日常的に情報収集の習慣があることの証明になります。逆に「特にありません」という回答や、数年前の話題しか出てこない場合は、継続学習への姿勢に疑問が生じます。

また、AI・LegalTechへの姿勢も重要です。「自分の仕事を奪うのでは」と否定的にとらえる人材よりも、「ツールを使いこなして業務効率化につなげたい」というマインドを持つ候補者のほうが、変化の激しい現代の法務環境に適合しやすいでしょう。

ポイント5:志望動機とキャリアビジョンから「定着可能性」を測る

採用にかかるコストと時間を考えると、入社後すぐに離職されてしまうことは企業にとって大きなダメージです。特に法務人材は育成に時間がかかるため、長期的に活躍できる人材かどうかを見極めることが重要です。

確認すべき質問例

  • 「なぜ弊社の法務部門を志望されましたか?前職と比べて何を期待していますか?」
  • 「5年後・10年後、法務のキャリアとしてどのような姿を目指していますか?」
  • 「法務部門として、今後どのような課題に取り組みたいですか?弊社でどのように貢献したいですか?」

評価の観点

志望動機が「給与アップ」や「残業が少ない」などの条件面だけに偏っている場合は注意が必要です。もちろん待遇面は重要ですが、それ以上に「この会社の法務として何を成し遂げたいか」という内発的な動機があるかどうかが、長期定着と高いパフォーマンスにつながります。

また、キャリアビジョンが自社の法務部門の成長方向性と一致しているかどうかも重要な確認事項です。たとえば「専門特化したスペシャリストになりたい」という候補者を、「ゼネラリスト型の法務部員を育てたい」企業が採用しても、双方にとって不幸な結果になる可能性があります。

採用面接を実りあるものにするために

以上、法務担当者の採用面接で確認すべき5つのポイントを解説しました。改めて整理すると以下のとおりです。

  • ポイント1:実務経験の「質」と「深さ」を深掘りする
  • ポイント2:法的思考力とリスク感度を具体的な状況設定で確認する
  • ポイント3:非専門家とのコミュニケーション能力・社内調整力を測る
  • ポイント4:継続学習への姿勢と変化への適応力を見極める
  • ポイント5:志望動機とキャリアビジョンから定着可能性を判断する

これらのポイントは、構造化面接(Structured Interview)の手法と組み合わせることでさらに効果を発揮します。事前に評価基準と質問を統一しておくことで、面接担当者によるブレを防ぎ、公平で客観的な評価が可能になります。

また、法務担当者の採用は「一度決めたら終わり」ではありません。採用後のオンボーディング・育成・評価制度も含めた一体的な人材マネジメントが、法務組織の強化につながります。

もし「採用面接はうまくできているが、その後の育成に課題がある」「そもそも応募者が集まらない」「どのような人材要件を設定すればよいか分からない」といったお悩みをお持ちであれば、LeONEの法務人材コネクト法務部コンサルティングサービスへのご相談をお勧めします。採用要件の整理から面接設計・人材紹介・定着支援まで、法務特化の視点でトータルにサポートいたします。

法務部門の採用力を高めることは、企業の法的リスク管理能力の向上に直結します。ぜひ本記事で紹介した5つのポイントを、次回の採用面接からお試しください。