2026/07/09
法務人材営業部門や製造部門では後継者育成計画(サクセッションプラン)が当たり前のように議論される一方、法務部門ではこのテーマが後回しにされがちです。しかし、法務部は少人数体制で運営されている企業が多く、契約書レビューの勘所や過去の紛争対応の経緯、社内外のキーパーソンとの関係性など、特定の担当者に知識と権限が集中しやすい部門でもあります。
そのベテラン担当者が急な退職や休職、異動によって不在になった場合、契約審査が滞る、過去の交渉経緯が分からなくなる、社外の顧問弁護士との連携が途切れるといった事態が一斉に発生します。法務部にとって後継者育成計画は、決して「余裕があればやること」ではなく、事業継続性を守るための必須の人材戦略なのです。
法務部の属人化には、いくつか典型的なパターンがあります。
こうした属人化は、法務部が慢性的な人手不足の中で目の前の業務をこなすことに追われ、仕組み化やナレッジ共有に時間を割けないまま放置されてしまうことが根本原因です。
法務部における後継者育成計画は、以下のようなステップで進めるとよいでしょう。
まずは法務部内のどの業務が「特定の個人に依存しているか」を洗い出します。契約審査、紛争対応、コンプライアンス対応、株主総会対応など、業務ごとに担当者と代替可能性を一覧化することが出発点です。
後継者候補となる人材のスキルを現状のキーパーソンと比較し、不足している知識・経験を明確にします。契約類型ごとの審査経験、交渉スキル、社外折衝の経験など、定性的な要素も含めて評価することが重要です。
候補者に段階的に権限と責任を移譲しながら、並行して業務マニュアルやチェックリストの整備を進めます。属人化を解消する最も確実な方法は、暗黙知を形式知に変換することです。
後継者育成計画は一度作って終わりではありません。人事異動や組織変更に合わせて、半年〜1年に一度は見直すサイクルを組み込むことが望まれます。
後継者育成には一定の時間がかかりますが、事業のスピードは待ってくれません。特に中堅・大企業では、M&Aや新規事業の立ち上げなど、法務部に急な高度専門人材が必要になる場面が頻繁に発生します。こうした場合、社内育成と並行して外部の法務専門人材を活用するハイブリッドなアプローチが有効です。
外部人材の活用は、単なる「穴埋め」にとどまりません。経験豊富な外部人材が一時的にチームに加わることで、社内の後継者候補にとってもOJTの機会となり、育成のスピードを加速させる効果も期待できます。自社に合った専門人材をどう探せばよいか分からないという場合は、法務人材コネクトの詳細はこちらから、経験豊富な法務人材とのマッチングについてご相談いただけます。
後継者育成計画を整備していても、突発的な退職や休職によって欠員が生じるリスクをゼロにすることはできません。そうした緊急時に備えて、あらかじめ以下のような対応策を用意しておくことをおすすめします。
特に、正社員としての法務人材採用には一定の期間がかかるため、採用活動と並行して一時的に業務を委託できる体制を整えておくことが、事業への影響を最小限に抑える鍵となります。法務人材の採用にお悩みの企業様は、法務人材募集のサービスもあわせてご検討ください。詳しくは法務人材募集の詳細はこちらをご覧ください。
法務部の後継者育成計画は、単なる人事施策ではなく、企業の事業継続性そのものを支える重要な経営課題です。属人化した業務を洗い出し、計画的に後継者を育成する仕組みを整えるとともに、社内リソースだけで対応が難しい場面では外部の専門人材を柔軟に活用することが、これからの法務部運営には欠かせません。
まずは自部門のどの業務が属人化しているかを棚卸しすることから始めてみてはいかがでしょうか。その上で、社内育成の計画と外部人材活用の選択肢を組み合わせることで、キーパーソンの退職や欠員が生じても揺るがない、強い法務部を作ることができるはずです。
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