2026/03/26
法務人材採用近年、企業の法務部門における人材採用は、かつてないほど困難な状況を迎えています。リーガルテック業界の急成長、コンプライアンス強化への社会的要請、そしてインハウスローヤー(社内弁護士)の増加といった複合的な要因が重なり、即戦力となる法務人材の需給ギャップは年々拡大しています。
求人・転職サービス各社のデータを見ると、法務職の求人倍率は他の職種と比較して突出して高く、経験3年以上の法務担当者を対象とした求人では、1名の採用に平均6か月以上を要するケースも珍しくありません。特にM&AやIPO準備、海外展開を担える上位職種では競争がさらに激化しており、優秀な人材の争奪戦が企業規模を問わず繰り広げられています。
この背景には、法務人材の「供給構造」における根本的な課題があります。法学部・法科大学院の卒業生数は安定しているものの、そのうち企業法務に進む割合は限られており、実務経験を積んだ中堅層の絶対数が少ないのが現実です。さらに、一度法務キャリアを歩み始めた人材は離職率が比較的低く、市場に出回る人材プールは慢性的に薄い状態が続いています。
採用難に拍車をかけているのが、法務人材に求められるスキルセットの急速な変化です。かつての法務担当者像は「契約書のレビューと社内法律相談」が中心でしたが、現代の企業が求める法務人材の役割は大きく様変わりしています。
経営層や事業部門と対等に議論できる「ビジネスパートナー型」の法務人材への需要が急増しています。法的リスクを単に指摘するだけでなく、ビジネス目標を達成しながらリスクをコントロールする提案型の姿勢が求められるようになりました。このような人材は従来の法務職の枠を超えており、法律知識に加えてビジネスセンスやコミュニケーション能力が不可欠です。
契約書レビューAIや法務管理システムの普及により、テクノロジーを使いこなせる法務人材の価値が急上昇しています。単純な契約レビュー業務はツールで代替される一方、AIが生成した結果を適切に判断・活用できる人材の需要は高まる一方です。リーガルテックへの理解は、もはや「あれば良い」スキルではなく、採用要件に入り始めています。
個人情報保護法の改正、フリーランス・業務委託新法、サプライチェーンへの人権デューデリジェンス義務化など、企業を取り巻く法規制は複雑さを増す一方です。これらの新たな規制に対応できる専門性を持つ人材は市場でも希少で、獲得競争は熾烈を極めています。
このような厳しい採用環境の中で、法務人材を確保するためにはこれまでとは異なるアプローチが求められます。以下に、先進的な企業が実践している採用戦略を紹介します。
即戦力となる経験者採用にこだわり過ぎることで、採用機会を逃しているケースが多く見られます。たとえば、司法書士・行政書士・社会保険労務士などの隣接法曹資格保持者や、法務部門での補助経験者を育成前提で採用する「ポテンシャル採用」も有効な選択肢です。また、他業種の法務経験者も、業界特有の知識は入社後に習得できると割り切れば、採用の選択肢は大幅に広がります。
正社員採用が困難な場合、副業・複業として法務スキルを持つ人材を活用する手法が注目されています。弁護士資格を持ちながら副業可能な環境にある人材や、他社の法務部に在籍しながらスポットで業務に関わるスペシャリストの活用は、即戦力確保と採用コスト削減を両立できる方法として、特にスタートアップや中堅企業で広まりつつあります。
法務人材を引き付けるためには、企業の「法務部としての魅力」を積極的に発信することが重要です。法務部の業務内容・体制・キャリアパス・成長機会を具体的に示す採用サイトの充実や、現役法務担当者によるSNS・ブログ発信など、採用ブランディングへの投資が人材獲得の差別化につながります。LeONEが提供する法務人材コネクトサービスでも、企業の法務部の魅力を適切に候補者へ伝えるサポートを行っています。
法務人材の確保は採用時だけの問題ではありません。せっかく採用した人材が短期間で離職してしまえば、採用コストも機会損失も甚大です。採用難時代においては、既存の法務人材を「定着」させる施策が採用と同等以上に重要です。
法務担当者が将来のキャリアを描けるよう、昇進・昇格の道筋を明確に示すことが大切です。法務スペシャリストとしての専門職ルート、法務マネージャー・法務部長への管理職ルート、さらにはCLO(最高法務責任者)への経営参画ルートなど、複数のキャリアパスを用意することで、長期的なモチベーションを維持できます。
法務業務は成果の「見えにくさ」が課題です。トラブルを未然に防いだ実績は数字に表れにくく、適切に評価されなければ優秀な人材ほど転職を考えます。法務部のKPI設計と連動した評価制度の整備は、採用から定着まで一貫して機能するインフラとなります。
法務担当者は自己研鑽への意欲が高い傾向があります。外部セミナーや資格取得の費用補助、社外の法務コミュニティへの参加支援など、スキルアップを会社がサポートする姿勢は、定着率の向上に直結します。
人材採用と並行して、法務業務の一部をアウトソーシングすることで、限られた人員で最大のパフォーマンスを発揮する体制を構築することが、採用難時代の現実的な対応策として普及しています。
すべての法務業務を社内人材で完結させようとすることは、採用難の環境では現実的ではありません。定型的な契約書レビューや法令調査といった業務を外部委託し、社内の法務人材が高付加価値業務に集中できる環境を作ることで、少人数でも高い法務機能を実現できます。
LeONEが提供する法務部業務アウトソーシングサービスは、このような「選択と集中」を支援するために設計されています。専門性の高い法務スタッフがクライアント企業の法務業務を担い、社内法務チームが戦略的業務に注力できる体制づくりをサポートします。
さらに、法務部コンサルティングサービスを通じて、現状の法務体制の診断から、人材配置・アウトソーシング活用・業務フロー改善まで、包括的な法務機能強化を支援することも可能です。採用戦略単体ではなく、法務体制全体の最適化という視点で取り組むことが、採用難時代を乗り越えるカギとなります。
法務人材の採用難は、短期的な需給の問題ではなく、構造的な課題として今後も続くと予測されます。企業が取るべき対応は、単に採用活動を強化するだけでなく、以下の観点を組み合わせた中長期的な戦略です。
LeONEは、法務部業務アウトソーシング・法務人材コネクト・法務部コンサルティング・法務人材募集の4つのサービスを通じて、企業の法務体制強化を総合的に支援しています。採用難時代だからこそ、自社の法務戦略を見直す良い機会です。ぜひ一度、専門家への相談をご検討ください。